組織の中での自己開示ガイドブック 2022 年 4 月版

公開日 : 2022-04-25

会社や組織のなかで、おたがいの心理的な安全性を高めるために。あなたからはじめられる、良好な人間関係構築のための自己開示ステップ

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はじめに

自分の内面的なことを相手に対して伝える自己開示と、それが相手との関係性構築に与える心理的な影響についての研究が世界中で行われています。 自己の情報が開示されると、開示された相手側が心理的に開示してくれた人に心を開き、その人も自分自身に関する情報を徐々に開示し始めるという研究論文が発表されています。

この記事では、自己開示する情報を 4 つの段階に沿って行う方法をご紹介し、心理的な安全性を高め合いながら、お互いを理解し合える状態である**「オープンネス」**という考え方をご紹介し、それを会社や組織の中で実現するために活用できる「組織の中での自己開示ガイドブック」を公開しています。

「オープンネス」を高めるための自己開示

会社や組織の中では、チームメンバーとの間で良好な人間関係を築きながら、任された業務でパフォーマンスを出すことが当然のように求められています。 どんな仕事やプロジェクトを任されるときであっても、一人で業務を完結することは難しく、誰でもチームメンバーやほかの社員に協力を求める機会があるでしょう。 チームワークの良さや、周囲の人間関係を良好に保持できているかどうかは、成果を出すための重要な要素となることは間違いありません。

ほかの人との人間関係を構築する時、自分自身がどういう人間かをほかの人に知ってもらうために、積極的に相手に自分のことを伝える自己開示が最初の一歩です。 しかし、突然よく知らない相手と自分自身のことを明らかにするには、不安や緊張、恥ずかしさを感じるなど、心理的に負担がかかるケースが多いのではないでしょうか。

ビートラストは、チームワークを良好に保ちながら、より社内での協業をしやすくし、あなたらしさを維持するために、 チームメンバーとの間で心理的な安全性を高め合いながら、お互いを理解し合える状態をオープンネスと呼んでいます。 あなたが、ほかの社員やチームメンバーといっしょに、効率よく日常業務にあたることができるように、 オープンネスを高めていくための自己開示ステップをこの記事ではご紹介します。

4 段階の自己開示の「深さ」レベル

自分の内面的なことを相手に対して伝える自己開示と、それが相手との関係性構築に与える心理的な影響についての研究が世界中で行われてきました。 特に研究が進む欧米では、自己の情報が開示されると、開示された相手側が心理的に開示してくれた人に心を開き、その人も自分自身に関する情報を徐々に開示し始めるという研究論文が発表されています。 大切な情報が伝えられることで、自分は信用されており、開示してくれた人は自分に対して心をひらいていると認識し、 相互的に親密な関係性を築く上でのきっかけとなるという考え方です。

こうした研究は日本でも進んでいます。2010 年、日本パーソナリティ心理学会が発行する機関紙に掲載された「自己開示の深さを測定する尺度の開発」という論文のなかでは、このような考え方を日本人にも適用した上で、自分のことを開示する相手との関係性に応じて、自己開示している情報の「深さ」が異なる、という議論が提唱されています。 この論文では、より深いレベルでの自己開示を行っている場合、その開示した相手との親密さの度合いに強い相関がみられます。

自己開示している内面的な情報の「深さ」のレベルが上がるにつれて、相手との関係性もより親しいものになるという相関があり、この研究の中で取り上げられた自己開示の尺度としての「深さ」には、4 段階のレベルが提示されています。

(ただし、こちらの研究は日本人の若年層や学生を対象とした研究・実験に基づくもので、必ずしもすべての人に該当するわけではないという点にご留意ください。)

自己開示の「深さ」の 4 段階の尺度

自己開示のためのおすすめ 4 ステップ

ビートラストでは、前章で説明した論文の内容をヒントに、あなたが開示する情報の深さの段階を理解して、順を追って情報を伝えることが、お互いのオープンネスを高めるには効果的であると考えています。 また、自己開示をするにあたっては、開示された側の状況にも配慮が必要です。会社や組織の中では、1 対 1 の関係だけではなく、複数の社員やメンバーと同時に関係をつくる必要があります。すべてを口頭で完結するというだけではなく、相手が開示するひとを理解しやすいように情報を整理したり、また、あとからでもお互いの情報を参照したり、会話の内容を振り返ることができるように工夫することが大切です。

そこで、会社や組織の中で、複数人と同時に関係をつくっていくために、自己開示の深さやフェーズに応じて、適切なツールを活用することが効果的です。 以下のリンクからダウンロードできる、「組織の中での自己開示ガイドブック」では、それぞれの自己開示の深さのレベルに沿って、オープンネスを高めるためのコツや、活用をおすすめするツールの種類を無料で公開しています。

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ビートラストを活用できる最初のステップ

人材情報を可視化して協業・共創を活性化する、多様化したチームのためのタレントコラボレーション・プラットフォーム「Beatrust」は、 オープンネスを高めるための自己開示のステップのなかで、一番最初のステップに特に活用できるツールです。

Level I 趣味・嗜好(しこう)の開示の場を、ビートラストの「タグ」がやさしくサポート

ビートラストのタグが「趣味・嗜好」の自己開示を支援

ビートラストが提供するプロダクトの中では、社員のプロフィール情報にタグを用いて、趣味や好きなこと、最近注力していることといった情報を整理できます。 職務上の関係構築が目的であっても、一番最初に関係を築くためのきっかけとして、あなたのちょっとした特技や趣味をオープンにしてことには大きな価値があります。 ビートラストでタグを追加することで、お互いが同じ画面やツールをみながら、共通点や気になる話題を共有しやすくなります。 また、おなじタグを持っている社員やメンバーが会社・組織の中にいたときには、プロフィール画面にその仲間も自動的に表示します。 自由なキーワードで検索することもできて、業務スキルでも趣味でも出身地でも登録できる。そんなタグ機能が、あなたの自己開示と協業をやさしくサポートします。

Level II 困難な経験をエピソードで話すために、「経歴や異動履歴」を事前にまとめておける

ビートラストの経歴や異動履歴が「困難な経験」エピソードを話す心の準備を支えます

あなたが過去につらかった経験や、そんなときに周囲に助けてもらった経験を自分から話すことが、次の自己開示のステップです。 こうした経験について、まだ十分に関係性ができていない社員やメンバーに口頭で話すのはとても緊張したり、不安定な気持ちになります。 ビートラストのプロフィールに用意されている経歴や異動履歴という項目は、事前にプロフィールにあなたのこれまでの職務、あるいは以前の組織や学校で取り組んでいたプロジェクトについての情報を時系列で登録できます。 事前に自分の経験を少し振り返って、事前にビートラストに情報を入れておきながら、チームで時間をとってオープンネスのためのセッションを開催し、困難だったり、仲間と助け合うことができたりしたエピソードを一人ひとつずつシェアするといった使い方ができます。 1 対 1 の場であっても、相手とビートラストのプロフィールを見ながらお互いの話をしているなかで、「この時はこんな大変なこともあったんだよね」というように、徐々に開示をしてもよいかもしれません。これまで知らなかったお互いの経験が、チームで心理的な障壁を下げて協業するための大きな財産になります。

本稿に関連する共同研究やサービスへのお問い合わせ

ビートラストでは、こうした自己開示のためのガイドブックをつかいながら、ビートラストを導入している多くの企業の皆さまといっしょに、従業員の皆さんが最高の自分を実現新柄、自由に協業・共創できる環境をつくるために支援をしています。 こうした自己開示の研究については、多くが心理学的なアプローチで行われていますが、ビートラストでは、私たちのつくるプロダクトの機能を通じて、いっしょに組織課題や従業員の協業にあたってのチャレンジに向き合う支援をさせていただいております。

ビートラストのプロダクトをご利用いただき、自己開示のステップを従業員の皆さまに実現いただくためのサポートや、実際の協業データを分析して課題に向き合うという点にご興味のある企業・組織の皆さまは、以下のリンクからぜひお問い合わせください。

また、本稿に関連して、共同研究や講演・取材のお問い合わせも受け付けております。本ウェブサイトのお問い合わせページよりご相談ください。

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